以前のブログで福島県で建築中だった木造応急仮設住宅の視察で見たことや感じたことを書きました。
以前のブログはこちらです。
今回は、仮設住宅の建設に取り組まれ、その時に我々を案内してくれた株式会社エコ・ビレッジさんのホームページに完成の報告が載っていましたのでフォロー記事として書かせていただきます。
「福島県1次公募の応急仮設住宅400棟が工期通り、無事完成いたしました」
という記事がTopicsの中にありました。
他にも完成した仮設住宅の様子なども紹介されています。
住み心地も景観も良さそうですね。
特に暑かった今年の夏場に、発電所の問題も抱えながら、短い工期でしかも規模が大きかったので大変そうだと感じましたが無事に完成したのですね。
被災した地域の工務店によって地元の材料、地元の職人にこだわって、あくまでお金を地元に還元するという発想での取り組みは今後の災害時の対応にも影響を与えるのではないかと思います。
住み心地なんかも聞いてみたいところですし、なんといっても職人は現場で働ける喜びが励みになったのではないかと思います。
今回のJBNの木造仮設住宅への取り組み方を通して、お金と仕事の流れに焦点を当てると今までの大手プレハブメーカーの仮設住宅の作り方とはずいぶん違うことに気が付きます。
大手メーカーの本社・工場はおそらく被災地とは関係ないところにあるでしょうし(故に大量に供給も可能になるわけですが)、材料の購入も本店、組み立て工賃も本店、経費も本店、せいぜい現場の職人の手間賃くらいでしょうが、それも特に地元採用にこだわっているわけではないと思います。
うちの事務所の近くにもプレハブ会社がありますがずいぶん山梨の方々は働いたと聞いています。
ただ、時間と商品に焦点をあてると短い工期で大量の安定した商品を供給するシステムは工務店レベルではまねのできることではないことも確かなことです。
それにしても、いざ身の回りで同じことが起きた時に(株)エコ・ビレッジさんのような力(カリスマ?)を持った工務店さんなんてどの地方にもあるのかしら? と、感じます。
少し話はそれますが、こういう話はハウスメーカーのシェアが大きいといわれる地方(山梨県もですが)の住宅経済事情にも通じるものがありそうです。
若い人たちが住宅ローンを組んで家を建てても地元に落ちる金額は職人の手間賃とわずかな地元調達部材・・・
建築現場でも組立工は必要とされるが技能工・熟練工は育っていかないですね。
長い年月継続していくと地方の文化も変えてしまうでしょうし、経済的にも当然疲弊していく本店経済では結果的に住宅ローンを払い続けるほうも大変になってくると思います。
経済のパイが小さくなると投げたブーメランもすぐに自分のところに帰ってきます。
地場の工務店も頑張って魅力的な住まいを提案し続けなければなりません。
仮設住宅の作り方を通して地方の住宅経済事情も見えてきそうですが、
半製品の住宅を運んできて「ボン」と建ててもらっても、お金も仕事も無いというのは平常時においても大変なことなのではないかと非常時を通して感じます。
住まいって完成よりも「その後」のほうが大切なのは非常時も平常時も同じだと思います。
それぞれの作り方のメリットやデメリットがあるかと思いますが、 今回の震災を通していろいろな方法で住宅を供給できることは分かったと思います。
住まいは保管庫ではなく、暮らすのは人ですから、住み心地や仕事、家計など、住まい手の「その後」を生かしていく方法を考えていきたいものです。
最後になりますが、視察に行ったときに(株)エコビレッジの和田社長の「地震と津波だけならどれほど前に進みやすいか」という言葉に発電所の問題を抱えながらの作業に苦労されているのが伝わり、とても印象に残っています。
震災から半年が経過して、ひとまずの無事な完成ということで、何もできませんが報告だけさせていただきます。
お疲れ様でした。