蓄熱・通気・遮熱とログハウス

電力の供給の問題から自然エネルギーへの移行の声が大きくなってきた今日この頃です。

それに合わせて夏場の電力使用を抑えるために緑のカーテンや屋上の緑化などへの関心も高まりつつあります。

しだいに住宅の断熱への考え方も変わっていくようですがちょうど今は過渡期といったところでしょう。

 

現在の一般的な住宅の断熱仕様の考え方は外部の暑さ、寒さを断熱材を使っていかに外部環境から居住空間を切り離すかという考え方を基本にしています。

すっぽりと断熱材で隔離された居室にエアコンなどを使用すれば簡単に快適な空間が出来上がります。

ただ、断熱材でおおわれた居室はそれ自体が暖かいわけではなく、湿度を調節してくれるわけではありません。

快適に暮らすにはエアコンが欠かせない家づくりとなります。

 

おおむね一般的な住宅には一つの屋根の下に3つの温度、湿度環境が存在しています。

  1. 床下    冬はマイナス(基礎コンクリートが蓄冷体となり、日中気温が上がっても床下の温度は上がらない)
  2. 居室    床・壁・天井面を断熱材で覆われ、換気とエアコンの併用で年間を通して30℃前後
  3. 屋根裏  真夏の屋根裏は60℃以上(日中たまった熱気は夜間もなかなか下がらない)

現在、日本に建っている戸建て住宅のほとんどがこの三つの温度・湿度環境にさらされて居室部分を適温に保つためにエアコンを使用しています。

外気温の四季を通しての温度差が40℃だとしたら住宅内で起こる温度差60℃以上は大きく、コンクリートなどの素材や断熱工法の持つ蓄熱作用が逆方向に働いていることもエネルギーの浪費につながります。

 

「居室内だけを快適に」という発想から建物を一つの公共物と考え、建物内部の温度差をできるだけ少なくして社会全体で電力消費を減らしていくという発想が出来ればいいですね。

 

そのためには建物の内部での四季を通しての温度差を少なるすることが目指すところです。

まずは

  1. 冬場の床下の温度を上げる
  2. 居室内に調湿素材を使用し、空気の流れを考慮する
  3. 屋根裏の温度を下げる

という単純な工夫が必要になります。

これって先人たちは粗末な素材で工夫し、取り組んできたことですがいつのまにか断熱性能とエアコン頼りの浪費スタイルになってしまったみたいです。

住宅を公共物と考えるとスマートでは無いですね。

 

たとえば冬場床下の温度がプラス8℃、夏場の屋根裏の温度が50℃以下だったら年間の温度差は40℃前後で外気温の変化と同じくらいです。

そんな家づくりが出来ればエアコンへの依存度はおのずと低くなってきます。

そればかりか住宅への温度差による負荷も軽減されますので住宅の耐久性も上がってきます。

そのためにこれからの家づくりには断熱という発想を蓄熱、通気、遮熱という発想に少しだけ変えていく必要があると思います。

 

自然エネルギーの利用、節電の時代はさらに快適で公共性のあるスマートな暮らしの始まりになりそうな気がします。

すこし長くなりそうなので北欧ログハウスの施工例などを交えながら次回へ続きます・・