サーマスラブと地熱利用

昨年の夏から施工させていただいておりました北杜市長坂町S邸において「地熱」について面白いデータを見る事が出来たのでご紹介いたします。

S様のお宅はサーマスラブという暖房設備を採用しております。

サーマスラブとは建物の基礎部分の土壌を温めることで建物全体を暖めるという暖房方法で、熱源としては深夜電力を利用して地中に埋設したサーマスラブパネルを暖めるという方法をとっています。建物地盤自体を蓄熱体として利用するため新たに蓄熱体を用意する必要がないので比較的安価に施工できるというメリットがあります。

詳しく知りたい方はサーマスラブHPをご覧ください。

 

北杜市の冬といえば八ヶ岳おろしが吹き、昼間でもマイナスになるほど寒いのですがS様のお宅は現場に入るたびになぜか「ほんのり暖かい?」のです。

現場に暖房設備はありません。

断熱材がいいから?イヤイヤ断熱材は暖房しなければどんなに厚くしてもそれ自体が室温をあげることはありません。逆に保冷庫のようになってしまう場合もあります。

今までも冬場の完成前の現場は何度も経験しましたが 「何か熱源がある!?」というこの感覚は初めてでした。

 

その何かの熱源は「地熱」でした。

サーマスラブの温度管理のためにスラブ温度(床下コンクリートの温度)のセンサーをコンクリートの中に埋設したのですがその温度が+10℃だったのです。

つまり外気温がマイナスのときでも床下の温度は安定して+10℃あるということです。

基礎の外側を断熱して床面に断熱施工をしていないので床下の地熱温度がそのまま室温に影響を与えているのです。

詳しくはこちらでご紹介しております。

地熱が年間を通して安定しているのは聞いたことがありますが実際にその暖かさを体感するのは初めてなのでふるえながら現場の中に入ってほんのりと暖かいのが地球の温もりだと思うとなんだか嬉しくなってしまいます。

実際に床下の温度が真冬で+10℃ということは凍結防止のヒーターは作動しないので冬場にヒーターの電気代は外部配管部分のみということになります。それだけでも冬場の電気代が月に数千円お得になります。

 

またスラブ温度が安定しているのは夏場も同じで外気温が+30℃以上でもおそらくスラブ温度は+20℃前後ではないかと思います。

この夏場の-10℃の温度差も利用することが出来ます。

冬場の+10℃と夏場の-10℃の外気温との差は共に私達の暮らしを快適にしてくれるフリーエネルギーです。

この地熱を利用したサーマスラブはうまいことを考えたものだと思います。

たまたまS様のお引越しが春からということで体感できた地球のぬくもり(電源を入れてしまうとわかりませんでした)ですが冷暖房の理想の究極は「無料で環境負荷がゼロ」だと思います。

そして住宅に自然素材を使用すると快適であるように冷暖房機器も自然エネルギー利用が快適なのだと思います。

サーマスラブの工事を通して木陰や陽だまりの心地よさを住宅に取り入れるヒントをいただいた気がします。

 

 

ドーム1.jpg

 地球と同じ形をしたドームハウスは太陽光を室内に効率よく取り込むことが出来ます。地熱利用のノウハウと太陽光を取り込む採光計画で地球のエネルギーを利用しながら冬暖かく夏涼しい暮らしが出来そうです。

「地球のこぶ」のようなローインパクトな暮らしがご希望の方には良いと思います。