薪ストーブと住まい

毎日寒いですね。

寒いので、今日は、施工例を紹介しながら薪ストーブと住まいのお話をさせていただきます。

薪ストーブに興味のある方は、ご存知の方も多いかとは思いますが、薪ストーブには、様々な種類があり、大きさ、素材、デザイン、燃焼方式などを選ぶことが出来ます。

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こちらは、アメリカのハースストーン社の「シェルバーン」というモデルです。

デザイン的にはシンプルな外観で、片開きのガラスを採用しているので、炎を眺めるのにも良いですね。

炉内も広く、薪を扱いやすい作りになっています。

燃焼方式は、クリーンバーン方式で、触媒を使わずに、1次燃焼で出た煙を、炉の中でもう一度燃やす2次燃焼という機能を持っています。 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハースストーン社のストーブの特徴は、ソープストーンという、熱を蓄えることの出来る石をストーブの素材として利用しているところです。

こちらのシェルバーンも、炉内にはソープストーンが使われて、燃焼により得られた熱を長時間保つことと、2次燃焼に必要な炉内の温度を確保することに利用されています。

外観デザインはシンプルに保ちながら、石という天然素材を利用して、暖房と燃焼の効率を上げる工夫をしているんですね。

 

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そんな、シェルバーンをリビングに設置すると、こんな感じになります。

八ヶ岳の標高1500mで、吹き抜けのリビングを暖めています。

外観もシンプルで、サイズ的にもコンパクトなので、スペースもとりすぎずに、居心地の良い空間になっています。

 

 

 

 

  

 

 

 

 

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ダイニングキッチンからの眺めも良いですね。

キッチンに立つと、八ヶ岳の自然と、少し離れたところにリビングの薪ストーブが目に入ります。

やはり主役は、あくまで住まい手ですから、さりげなく&美しく、そばにいてほしい生活の道具ですね。

 

 

原村のK様の薪ストーブ、ハースストーンの「シェルバーン」でした。

 

 

 

 

 

続きましては、こちらもアメリカ製、バーモントキャスティング社の「レゾリュート・アクレイム」を紹介させていただきます。

 

 

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「レゾリュート・アクレイム」の名前は、「強い意志へ喝采を贈る」、という意味らしいです。

コンパクトボディーに片開きのドアで、炎も良く見えて、格好いいですね。

素材は、鋳物で出来ていて、燃焼方式は、クリーンバーン方式です。

片開きのドアのストーブは、ガラス面が大きく、炎がきれいに見える反面、薪を投入するときに、炉内全面がオープンになってしまうので、慣れないと少し怖い感じがしますが、こちらのストーブは、ストーブ上部から薪を投入することも出来、投入口は鉄板で出来ているので、薪ストーブクッキングも楽しめます。

 

 

 

 

 

なかなか薪ストーブのカタログ数値で紹介されないのが、薪ストーブ本来の暖房機能である輻射熱が出るまでの速さではないかと思いますが、コンパクトなストーブのほうが、そのスピードは速いと思います。

薪ストーブの暖かさは、炉内の炎の暖かさではなく、ストーブの素材が温まることで得られる輻射熱なので、カタログ数値の暖房能力と建築面積だけで判断しないことも大切かと思います。

夜間の外出から帰って来て、体を温めたいときに、なかなか温まらず、翌日になって、Tシャツで過ごせるほど暖かくなってもね・・・というところは、要注意です。

生活の道具ですからね。

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そんな、バーモントの「レゾリュート・アクレイム」をリビングに置くと、こんな感じです。

冬の低い陽射しが、深く入り込むリビングを薪ストーブが暖めてくれています。

名前の通りに、喝采を贈りたいほどの脇役ぶりで、やはり主役は住まい手だな~、と感じられるリビングです。

 

八ヶ岳南麓、大泉町のU様の「レゾリュート・アクレイム」でした。

 

 

 

 

今日は、クリーンバーン方式の2機種を紹介させていただきましたが、薪ストーブには、ほかにも、触媒を使用したものなど、数種類の燃焼方式があります。

各メーカーが、それぞれに技術を競い合っているわけですが、基本的に、燃焼効率を上げるために欠かせないのは、薪ストーブという、「箱」の気密性なんですよね。

要するに、密閉された箱を作る技術あっての燃焼方式や素材の選択ということになります。

 

実は、それは、住宅でも同じことが言えます。

ランタサルミログハウスは、ログハウスではありますが、2階の壁は、全部ログを積まないツーバイ工法を採用して、断熱と気密性を確保しています。

まず、この箱がうまく出来ないと、温めた空気のほとんどを煙突を通して外に逃がしてしまう、昔ながらの開放型のストーブのような建物になってしまいます。

その上で、素材として、1階の壁は、断熱性に加えて蓄熱性や調湿性を備えた無垢のパイン材を使用して、建物の基礎部分は、外断熱基礎にすることで、コンクリートを蓄熱体として使用するなどの工夫をしていきます。

 

これらの工夫は、今回ご紹介した、薪ストーブの素材や機能、燃焼方式といった工夫と似たところがありますね。

薪ストーブと住まいは、大きさの違う「箱」ですが、1つの箱の温熱環境を効率よく快適に保とうとすると、考えることは、同じになってくるんですね。

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暖房から得られる輻射熱を有効に利用すると、素材は、住まう人に休息感を与えてくれますよ。

 

 

 

 

 

 

ぜひ、住まいも暖房機も、せっかくですから、心地よいものをお選びくださいね。

というわけで、今日は、薪ストーブと住まいのお話でした。

それでは、また。