おかげさまでご好評をいただいております「RANTASALMI PUISTO バーチャルツアー」ですが、今回は解説の屋外編です。
バーチャルツアーでは感覚的に八ヶ岳の自然環境やランタサルミログハウスの美しさを感じていただければと思っていますが、ところどころにあるリンクボタンで施工の「裏側」が見えるようになっています。
リンクボタンでは写真が出てくるだけなので、工事の裏側に関心のある方のために解説させていただきますのであわせてお楽しみください。
まずは外観です。
はじめてこの計画地に立った時に「こういう場所にログハウスを建てたかった」と感じた場所は東側に小川の流れる森があり、たっぷりと自然光を感じられる南に開けた土地の先に富士山、西は日照時間の長い夏の西日を遮る木立があり、北側は冬の厳しい八ヶ岳の季節風をさえぎる敷地形状・・
と、住まいが周辺自然環境に守られているのがイメージできたからです。
住宅の性能にこだわって家づくりを進めていますが、やはり環境の力の大きさや自然への畏敬の思いは住まいづくりには欠かせないと思っています。
そんな周辺環境において、こちらのお宅では、心地良い春の気温から±5℃の温度変化で室温を安定させること、クリーンなエネルギーを中心に使用して、素材はもちろん人や環境にやさしい有機素材を利用しています。
なかなか今までは有機素材では実現できなかった室内環境が出来上がっているのは、そのスペックの高さによるものです。
まずは「BASEMENT」です。
BASEMENTは1と2がありますがお互いに関連していますので一緒に説明します。
まずは基礎の工事中の写真です。
基礎工事は断熱型枠を使用したタイトモールド工法を採用しています。
1年間を通しての室温の変化を10℃程度に押さえることや省エネルギーでクリーンなエネルギーの使用を考慮し、地熱を利用した基礎構造になっています。
寒暖の差が激しい八ヶ岳でも地面の温度は10℃から23度くらいで安定しています。
その安定した地熱を利用するために断熱基礎タイトモールドを利用しています。
タイトモールドではベタ基礎の一体打ちが出来ますので雨水やシロアリの浸入を防ぎ、長く安心して暮らしていただくことが出来ます。
断熱構造の基礎コンクリートはただ単に建物を支える強度の強い素材というだけではなく、室温を安定させるための蓄熱体として利用されます。
タイトモールド工法についての詳細はこちらで見ることが出来ます。
続きましては土壌蓄熱式暖房サーマスラブの施工の様子です。
真冬に外気が-10℃でも床下の地面の温度は+8℃くらいあります。
その地面の上にヒーターパネルを敷いて、その上の基礎コンクリートに蓄熱させる暖房方法で、深夜の5時間のみの通電で基礎の蓄熱体を暖めるので経済的で効率の良い暖房方法です。
基本的には太陽光発電をのせればゼロエネルギーが可能なスペックで建物は仕上がっています。サーマスラブの5時間のみの通電はエネルギー消費の少ない家づくりには相性が良いです。
サーマスラブに関しての詳細はこちらで見ることが出来ます。
続きましては「WINDOWS&DOOR」です。
ランタサルミでは日射や雨によって傷みやすい木製サッシは工場塗装してきます。
また、雨がかりとなる窓の下側は専用のアルミ成型水切りを取り付けています。
工場塗装とアルミ成型水切りにより風雨にさらされる開口部まわりの耐久性が非常に高くなっています。
続きましては「CLEAR ROOF」について。
外観のシンメトリーなデザインが印象的なモデルですが、その両サイドにはウッドデッキがついています。
クリアールーフのついているデッキはダイニングにそのままつながっているのでここでのティータイムは気分がいいですね。
クリアルーフはウッドデッキの解放感を損なわず、突然の雨に水をさされることもありません。
この「WINDOWS&DOOR」と「CLEAR ROOF」については両方ともオーナーさんにとってみれば建築後数年経過して初めて「ああしとけば良かった・・」と後から分かってくることが多いみたいです。
「必要なものは省かない」はランタサルミのプランニングへの姿勢だと思っています。
続きましては「ROOF」です。
屋根材のすぐ下にメッシュ状の素材を貼っています。
四季を通して最も過酷な環境にさらされる屋根材からの寒暖の影響を空気の流れで和らげてくれます。
メッシュの下の白く見えているのは透湿性のある防水紙で合板の湿気などをスムーズにメッシュの通気層に移動させて合板の耐久性を高めてくれます。
通気メタルルーフィングについての詳細はこちらで見ることが出来ます。
続きましては「SOUND OF STREAM」です。
こちらに目をやるとさすが環境音楽家の小久保隆さんの作品ですね。
小川の流れる音や小鳥の声が聞こえてきます。
実は、 今回の作品で一番気に入っているのは川のせせらぎとともに木立の上に目をやると太陽の光がリング状になって下りてくるところです。
水と緑と太陽のいとなみを思うとき、自分たちの営みは小さいですね。
「そのはじっこの心地よい空間」のために出来る限りの力を積み重ねていくことを仕事にしていきたいと思います。
最後に「POWER SOURCE」です。
U様のプイストはほとんどのエネルギーを電力でまかなっています。
太陽光発電を利用すればゼロエネルギーを実現できるスペックを外観の美しい木の家で作ること。
生活排気で環境に負荷をかけないこと、電力の引き込みを地中埋設にすることで見た目の負担を減らすことなどはドイツで暮らされていたU様とも共通認識で取り組みました。
ということで、やっぱり長くなってしまった「RANTASALMI PUISTO バーチャルツアー」の解説屋外編でした。
みなさまの 快適な住まいづくりの参考になれば幸いです。