外観と構造

「今日はステコン打設なんですね」

現在進行中のランタサルミログハウスのお客様、U様に声をかけられました。

「ステコン」なんて言葉がお客様から出てくると朝からドキッとしますが(笑)、うちの場合はお客様が希望すれば施工中の工事写真は進捗状況を毎日web上で見ることが出来ます。

web上にあるのでインターネット環境さえあれば勤務先、海外でも見れますし、「離れて暮らす両親も楽しみに見ています」なんてお話もお聞きします。

特にうちの場合は別荘のお客様が多いので毎日建物が出来上がっていくのを確認しながら楽しみにしていただいているようです。

うちは基礎工事も全公開なので、こういう作業を続けているとお客様から「ステコン」みたいなドキッとするような専門用語も聞かれてくるわけです。

それは、ある意味望んだ結果で積み重ねの成果でもあるかと思います。

そんなU様のお宅でベタ基礎の一体打ち「タイトモールド工法」のコンクリート打設がおこなわれます。

 

この機会にコンクリートと鉄筋のお話を少し。(と言いつつ、また長くなりますが)

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この写真は「ステコン」の上に13mmの異形鉄筋を200mmのピッチで組んだ写真ですがうちのHPではおなじみの写真です。

ステコンを良く見るとヒビが入っていますね。

コンクリートは圧縮(押しつぶす)の力には強いのですが曲げや引っ張りの力に弱いのでステコンのように鉄筋を入れないとこのように割れてしまいます。

ステコンは鉄筋を組む時の墨出し用に打設されますので圧縮にだけ耐えてくれればよいということになります。

 

 

 

このコンクリートの圧縮に強く曲げに弱い性質を補うために鉄筋を利用します。

鉄筋は曲げや引っ張りには強いのですが酸化するとサビが出てきます。

コンクリートはアルカリ性なので鉄筋はアルカリの中で守られるというわけです。

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 アルカリ性のコンクリートは時間の経過とともに中性化すると言われています。

そのためしっかりと規定の厚みのコンクリートをかぶせてあげる必要があります。

 

 

 

 

 このようにコンクリートと鉄筋はお互いの長所を生かして短所を補い合いながら住まいを守っています。

異なる二つの素材を組み合わせることで出来上がる強い構造物ですが、コンクリートかぶりが少なかったり鉄筋の組み方がいい加減だと本来の強さを発揮できません。

素材本来はポテンシャルを持っているのに人の技によって強度や耐久性が変わってきます。

また、その内容はコンクリートを打設してしまうとほとんど見えなくなってしまいます。

 

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完成したらほとんど見えなくなってしまう工事の進め方と内容を紹介しています。

 

 

 

 

こうやって構造を紹介することで家づくりを理解し、楽しんでいただいています。

 

ここで工事中の写真をそれぞれ500枚くらい紹介している建物の一部を紹介しますね。 

 

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 駒ケ岳を背景に建つ2010年度ログハウス・オブ・ザ・イヤー受賞作です。 

北杜市白州町O邸 

 

 

 

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富士を写す小淵沢の家です 。

北杜市小淵沢町O邸 

 

 

 

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ログハウスでゼロエネルギーを目指しています。 

北杜市大泉町T邸

 

 

 

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 パノラマビューの美しい大屋根のログハウスです。

北杜市長坂町K邸

 

  

 

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小川の流れる敷地に建つハイエンドな山の家です。 

 

北杜市大泉町U邸

 

 

受注者と発注者に閉ざされることなく施工や構造の様子が見えることで、個人の資産価値を上げると同時に建物が景観の財産でもあると感じていただければ嬉しいです。

 

いずれは「見た目や構造は人のもの」ってくらいのほうが安心して暮らせる住環境が生まれるのではないかと手さぐりしながら、これからも日々の活動を出来る限りオープンにして心地よい住まいづくりに取り組んでいきたいと思います。